Vol.71  名古屋にある 「日本一」 を知ろう!   -名古屋都市センター 「私の好きな名古屋」展 より-

名古屋都市センターが「私の好きな名古屋」展を2022.4.06~5.29に開催した。この中で、名古屋にある「日本一」がパネルで紹介されていた。この「私の好きな名古屋」展で日本一と紹介されているのは、最大、最多、最新、最古などの観点で選ばれた事柄だ。既にご存じの事も多いとは思うが、筆者には新しい発見もあった。受け売りではあるが、名古屋市のシビックプライドに繋がり得る情報だと思うので、主なものを筆者の視点でお伝えしたい。

1.名古屋城の天守閣は日本最大  -城郭としては国宝第一号-

名古屋城の天守閣の延べ床面積は、日本の城の中で最大である。江戸城や大阪城よりも大きいのだから偉大な城だと再認識する事実ではなかろうか。築城を命じたのは徳川家康で、1610年に天守閣が完成した。関ケ原の戦いから10年後であり、大阪城には豊臣方が居座る状況の中での築城であった。清州越しが始まったのは1612年、初代城主徳川義直が入場したのが1615年(本丸御殿の完成年)で、大坂冬の陣の年であった。こうして名古屋城と城下町が完成し、16代にわたる尾張徳川の治世が始まったのである。

また、1930年(昭和5年)には天守閣を含めた本丸御殿などが城郭として初めて国宝に指定された。築城以来320年の時を経て木造天守閣等が残されていた時代であり、城郭としての国宝指定は第一号であった。その後、1945年(昭和20年)の空襲によりほとんどの建物を焼失した名古屋城郭は、1952年(昭和27年)に国の特別史跡に改めて指定されている。

尚、名古屋城の有する特徴の一つは、詳細な資料が保存されていたことである。これによって復元が可能な条件が備わっており、本丸御殿は2018年に10年の工期を経て復元が完成した。今後は、木造天守閣の復元に期待が膨らむ名古屋のシンボルである。

2.中部電力MIRAI TOWER は日本初の集約電波塔   -東京タワーより誕生は早い-

「名古屋テレビ塔」の名で親しまれてきたタワーは、ネーミングライツにより「中部電力MIRAI TOWER」となった。その誕生は終戦から4年後の1954年(昭和29年)で、東京タワーよりも早く完成した日本初の集約電波塔である。大規模な空襲を受けた名古屋の復興を期して、名古屋財界の主要企業が出資するとともに、名古屋市と愛知県も出資して名古屋テレビ塔株式会社が設立され、NHKとCBCは鉄を買って現物出資して協力するなどして建設された。まさに、地域を上げて取り組んだ戦後復興を象徴する事業だったのである。

設計に際しては、将来タワーの地下に地下鉄を通すことを前提とすることとされたため、基礎を浅くする必要があったことから重心を低くする工夫がなされている。長らくランドマークとしても親しまれてきたが、2011年にアナログ放送が終了すると同時に、集約電波塔としての役目を終えた。テレビ塔を利用していた在名各局からの収入がなくなり、耐震強化の必要性を抱えた名古屋テレビ塔株式会社は苦境に立たされたが、2019年に免振装置を設置する大規模改修を実施し、2020年にタワー内にホテルを備えてグランドオープンした。テレビ塔を残してほしいという市民の願いが叶い、久屋大通パークの開業と合わせて、名古屋の新たな名所としての歩みを始めている。

3.名古屋市科学館のプラネタリウムは日本一   -規模は世界一、観覧者数は日本一-

名古屋市科学館は、理工館、天文館、生命館から構成される展示施設で、1962年に開館した。名古屋をはじめ、近隣市町の子供たちにとっては、学校行事や家族連れで一度は行ったことのある馴染みのある施設だ。中でも開館当初から設置されているプラネタリウムは人気があり、2011年にはリニューアルされてブラザーアースと名付けられた。この新しいプラネタリウムの内径は35mでギネス記録として登録されており世界最大である。

ブラザーアースが最新技術で映し出す星空は美しく、専門の学芸員が独自の生解説をするスタイルが開館以来の特徴だ。投影プログラムは月替わりで、時節に応じた解説がされるのでリピーターが絶えない。月に一度は大人向けプログラムの夜間投影も開催されている。また、ドーム内のシートは大型のリクライニングシートとなっていて、広大な星空を快適に見渡すことができる。

このように規模も内容も名古屋市が胸を張るブラザーアースを訪れる観覧者数は、年間約50万人で、プラネタリウムとしては日本一の集客を誇っている。子供の頃に楽しく体験し、大人になって再訪しても楽しめる施設で、名古屋市民の探求心を掻き立てる施設として根付いている。

4.東山動植物園にも日本一がある   -飼育数は日本一、温室は日本最古-

1937年(昭和12年)に開館した東山動植物園も名古屋の名物だ。動物園と植物園で構成される敷地面積は約60haで日本最大級であり、年間約240万人の来園者は上野動物園に次いで国内2位である。季節感を満喫できる行楽地として名古屋市民をはじめ広域的に親しまれている。

この東山動植物園にも日本一がある。動物園の飼育種類数は約450種で日本一多い。また、植物園にある大温室は日本最古だ。東洋一の水晶宮と呼ばれた温室で、2006年に重要文化財に指定され、近年は改修工事で閉鎖されていたが2021年から一般公開が再開された。その他にも、園内を走るスカイビュートレイン(モノレール)、東山スカイタワー、世界のメダカ館、遊園地などもあって特徴は多彩だ。

来園者にとっての楽しみは動物たちとの触れ合いだろう。日本初のコアラ舎、開園当初から主役を担ってきたゾウ舎、39年ぶりの飼育となったレッサーパンダ、イケメンゴリラとして話題となったシャバーニなど見どころは枚挙にいとまがない。恐らく、来園者それぞれの方がお気に入りをお持ちなのではなかろうか。

鶴舞公園に開園した名古屋市立鶴舞公園付属動物園(1918年)が始まりで、1937年(昭和12年)に東山に移転し、名古屋市が長年にかけて整備を続けて今日に至っている。市営であるから中学生まで無料、大人500円と入園料も安く、地下鉄東山公園駅があってアクセスも良好だから親しまれやすい。2010年からは「東山動植物園再生プラン」が着手され、順次大規模なリニューアルが続けられている。園舎の改良や民間企業を誘致して飲食機能を刷新するなど、魅力向上に手を緩めない東山動植物園は、これからも多くの市民に親しまれ続けていくに違いない。

5.名古屋港は日本一の宝庫   -面積、貨物量、水族館など-

名古屋港が日本一と紹介される機会は多いが、この港は日本一の宝庫である。まずは面積だが、4市1町(名古屋市、弥富市、東海市、知多市、飛島村)にまたがる広大な臨港地区(陸域)と港湾区域(水域)のうち、臨港地区は日本最大である。次に物流機能としての拠点を示す貨物量では、取扱貨物量が19年連続日本一、外貿取扱貨物量が21年連続日本一、自動車輸出台数も日本一とずば抜けている。これほどまでに物流面で日本一を誇る理由は、背後に日本最大のモノづくり産業の集積があるからだ。自動車を中心とした各種貨物は、輸出品のウェイトが高いため、日本の貿易黒字のうち半分以上を名古屋港が担っており、まさに日本経済の一翼を担う国際拠点港湾だ。

また、名古屋港に立地している名古屋港水族館も日本一の水族館だ。その延べ床面積、総水量ともに日本最大で、シャチプールも日本最大である。年間入場者数は沖縄美ら海水族館、大阪海遊館に次いで3位だが、年間200万人を超える集客は名古屋を代表する観光拠点となっている。

名古屋港は、熱田港を拡充する形で1896年(明治29年)に着工し、1907年(明治40年)に名古屋港に改称して開港した。開港当時は内貿貨物と木材の取り扱いが多かったが、その後外貿貨物に中心がシフトし、コンテナ貨物へと転換が進行中だ。愛知県のモノづくり産業の発展とともに港勢を拡大し続け、開港115年を越えて発展を続けている。

6.神社・寺院の数は愛知県が日本一   -京都よりも多い!知ってた?-

「そうだったのか!」。これには筆者も驚いた。名古屋都市センターが開催した「私の好きな名古屋」展によると、愛知県の神社数は3,353で新潟、兵庫、福岡に続いて第4位で、寺院数は4,542で2位の大阪(3,385)を大きく引き離して日本最多だという。そして、神社数と寺院数の合計(7,895)でも日本最多だということだ。

神社や寺院と言えば京都を思い浮かべるが、京都は4,842(神社と寺院の合計)で愛知が圧倒している。江戸時代の史跡が多い東京は4,336(同)で、これも愛知が圧倒している。愛知県の神社・寺院の数がこれほどまでに圧倒的な日本一だということを筆者は認識しておらず、興奮すら覚えた。

名古屋は名古屋城の築城と共に整備された城下町がルーツだ。城は熱田台地の西北端に建てられたため、北側と西側は崖下となるため守備に強い。このため、東側と南側の守備を固めるために寺町が配置された。東の寺町は泉から葵にかけてのエリア、南の寺町は大須から熱田にかけてのエリアである。こうしたことが、名古屋の寺院数の多さに繋がることは予想できた。また、津島市は寺密度日本一の都市でもある。しかし、愛知がこれほどまでに神社・寺院数が多いという認識には至っていなかったので、筆者には新しい発見であった。改めて、愛知・名古屋は歴史資源の宝庫であるという認識に立ちたいと思う。

7.数々の日本一が他にも盛沢山一   -思いめぐらせば硬軟色々-

愛知県のモノづくりが日本一であることは広く知られている。工業出荷額は1977年から日本一を続けている。これは多くの人が知る愛知県の最大の特徴だが、そのルーツは名古屋市にある。近代工業が愛知で芽吹いたのは、日本陶器と豊田商会がほぼ同時期に則武新町(名古屋市西区)に工場を建設したことから始まる。この時から名古屋は工業都市としての歩みを始め、各企業の成長とともに愛知県下へと広がったのだ。

また、これら以外にも名古屋には埋もれた日本一が多様にあるだろう。筆者の知る範囲で例示すれば、地下鉄名城線は日本で初の環状地下鉄、地下鉄上飯田戦は日本一短い路線、徳川美術館は収蔵する刀剣数が日本一多い、日本一高いところにあるスターバックスコーヒーがJRゲートタワー(15F)にある、など雑学も合わせて硬軟様々だ。

名古屋にある日本一を知ることは、内外にアピールする情報となり、名古屋への造詣を深める意味でも重要だが、何よりも名古屋への愛着に繋がる意味で重視したい。多くの人がこうした情報からわが街への関心を高め、シビックプライドに繋がることを期待したい。気づきを与えてくれた名古屋都市センターの「私の好きな名古屋」展に感謝したい。

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